1. はじめに:40代ITエンジニア転職の現実と結論
「40代でITエンジニアとして転職したら、年収が下がってしまった…」
そんな不安や現実は、多くのエンジニアにとって避けて通れないテーマです。
40代はキャリアの成熟期に差し掛かる時期。マネジメント経験や技術力は確かに評価されますが、それと同時に採用側からは次のような視点で見られます。
- 給与レンジが高めになりやすい → 採用コストが上がる
- 最新技術への適応スピード → 若手より遅いと見られることも
- 長期雇用リスク → 定年までの期間が短いと判断される場合もある
こうした背景から、内定が出ても提示年収が想定より低くなるケースは珍しくありません。
しかし重要なのは、年収ダウン=失敗とは限らないということです。
たとえば、
- 年収は下がったが、通勤時間がゼロになり家族との時間が増えた
- 新しい分野のスキルを習得し、2〜3年後に年収が回復・アップした
- 精神的ストレスが減り、仕事のモチベーションが向上した
つまり、転職の成否は**「数字」だけで測れない**のです。
この記事では、40代ITエンジニアの転職における年収ダウンの現実と理由、そして実際の体験談や回避策を詳しく解説します。
2. 40代ITエンジニアの転職市場の現状
2-1. 市場は「人手不足」だが、高年収ポジションは限られる
経済産業省の調査によれば、2030年にはIT人材が最大79万人不足すると予測されています。
一見すると「売り手市場」に見えますが、40代の高年収転職は別の事情があります。
- 20〜30代を優先採用する傾向
企業は若手を長期的に育成したいという意向が強く、同等スキルなら給与の安い若手を選びがち。 - 即戦力とマネジメント経験の両立が求められる
40代にはプレイヤーとしての技術力だけでなく、チームを率いるマネジメント力が期待されます。 - 専門性の高さが必要
ジェネラリストより、クラウド・AI・セキュリティなど専門性が高い分野の方が高評価。
2-2. 地域差と企業規模の影響
年収相場は勤務地によっても大きく変わります。
例えば同じITエンジニアでも、首都圏と地方では年収レンジが100万〜200万円以上異なることもあります。
また、大手企業と中小企業では給与体系や賞与制度が異なり、大手出身者が中小へ転職するとほぼ確実に年収ダウンします。
2-3. 40代の採用枠は「ピンポイント」
若手層の採用が幅広いのに対し、40代の採用は以下のように条件が狭い傾向があります。
- 特定分野の高い専門知識を持っている
- 即戦力として短期間で成果を出せる
- 部署やプロジェクトを率いた経験がある
こうした条件を満たしていない場合、採用はあっても高年収オファーは出にくくなります。
3. 年収が下がる主な理由
3-1. スキルと市場価値のギャップ
長年同じプロジェクトや技術スタックだけで働いてきた場合、
- 古い言語(COBOL、VB、旧Javaなど)に偏っている
- オンプレ環境中心でクラウド経験がない
といったギャップが生じます。
面接官からは「今後の技術変化に追いつけるか」という懸念を持たれ、提示年収が抑えられる原因になります。
3-2. 前職の給与が高すぎる
外資系企業や大手企業では、業界相場より20〜30%高い給与を得ていることがあります。
しかし、転職先がその金額を維持できるとは限りません。
採用側としては「全員を高待遇にするわけにはいかない」ため、現職年収よりも低い条件提示が普通になります。
3-3. 企業規模や業界の違い
- 大手企業 → 中小企業への転職:賞与や福利厚生を含めて100万円以上減少することも
- 安定業界(金融、インフラ) → 成長業界(スタートアップIT):株式報酬などの可能性はあるが、当初の年収は低い傾向
3-4. 勤務条件が年収を押し下げる
働き方の条件を優先すると年収は下がる傾向があります。
例えば、
- フルリモートOKの企業は、勤務地自由のメリット分、基本給がやや低い
- 勤務時間短縮(時短勤務)は、その分給与も減額される
4. 実際の転職体験談
ケース1:年収ダウンでも家族との時間が増えた
- 45歳 男性/前職:大手SIer(首都圏)/年収800万円 → 転職後:680万円
- 転職理由:長時間通勤と週末の出勤が常態化し、家族時間がほぼゼロ。地方移住+フルリモート可能な職場を探す。
- 選択の背景:地方企業は首都圏企業より給与相場が低いと理解していたが、生活費が下がるため実質的な収入減は最小限と試算。
- 結果・感想:「通勤時間が1日3時間→ゼロになり、子どもの行事に全て参加できるようになった。給与よりも得たものの方が大きい」
ケース2:スキルアップ優先で年収ダウン
- 42歳 男性/前職:製造業IT部門/年収650万円 → 600万円
- 転職理由:今後の市場価値向上を狙い、クラウド技術(AWS)に特化した職場へ移ることを決意。
- 背景:前職はオンプレ中心でクラウド経験が乏しく、将来的に年収が頭打ちになる不安があった。
- 結果・感想:「初年度は減収だが、転職後にAWS認定資格を取得し、2年後に年収720万円のオファーを受けた。年収より成長を優先したのは正解だった」
ケース3:条件交渉不足で後悔
- 48歳 男性/前職:受託開発/年収720万円 → 600万円
- 転職理由:人間関係の悪化による早期転職。
- 背景:最初に内定が出た企業へ即決し、給与交渉を一切せず入社。
- 結果・感想:「他社選考を並行していれば、年収条件が良いオファーもあったはず。焦りは禁物」
ケース4:技術職回帰で満足
- 46歳 男性/前職:PM/年収900万円 → 750万円
- 転職理由:マネジメント業務に追われ、技術スキルが衰えていく危機感。
- 結果・感想:「現場での開発に戻り、技術力を磨く喜びを再び感じられるようになった。年収よりも“やりがい”を優先」
ケース5:外資から国内企業へ
- 44歳 男性/前職:外資系IT企業/年収1,000万円 → 820万円
- 転職理由:成果主義・リストラ文化が強く、精神的に疲弊。
- 背景:国内大手企業の安定性と福利厚生を重視。
- 結果・感想:「給与は減ったが、長期的な雇用の安心感と穏やかな職場環境を得た」
ケース6:新しい分野へ挑戦
- 41歳 男性/前職:業務システム開発/年収680万円 → 620万円
- 転職理由:AI・機械学習の分野に挑戦したい。
- 結果・感想:「新しい分野でゼロから学び直すため年収は減ったが、学びの刺激が大きく、今後のキャリアに希望が持てる」
ケース7:地方企業への転職
- 49歳 男性/前職:首都圏SIer/年収750万円 → 600万円
- 転職理由:親の介護のためUターン。
- 結果・感想:「年収は減ったが生活費が下がり、生活の質はむしろ上がった」
5. 年収ダウンを避けるための戦略
5-1. 最新スキル習得は必須
- クラウド技術(AWS、Azure、GCP):需要が高く高単価案件が多い
- DevOpsツール(Docker、Kubernetes、Terraform):開発スピードを上げる技術は評価されやすい
- セキュリティ知識:DX化で需要拡大中
資格取得だけでなく、GitHubやポートフォリオで実務レベルを証明すると強い。
5-2. 市場価値の客観評価
- MIIDASや転職ドラフトで年収相場を確認
- 転職サイトのスカウト数・内容で市場評価を把握
- 定期的に情報をアップデートしておくことで、交渉時に有利になる
5-3. 複数内定を活用した交渉
- 3〜5社並行応募で、1社目の条件を他社比較に活用
- 交渉は「年収を上げたい」ではなく「このスキルに見合う条件を希望」という形が有効
5-4. エージェント活用で非公開求人を狙う
- ハイクラス求人は一般公募より非公開案件が多い
- エージェント経由だと条件交渉やスキルPRを代行してくれるため、提示年収が高くなりやすい
6. 年収より得られるメリット
6-1. ワークライフバランス改善
- 通勤時間が減るだけで年間数百時間の自由時間が生まれる
- 定時退社や在宅勤務で趣味や家族時間が充実
6-2. 精神的安定
- 上司や同僚との人間関係の改善
- プレッシャーの少ない職場環境でメンタル面が回復
6-3. 成長実感と将来性
- 新技術や未経験分野に挑戦できる環境は、長期的には年収回復につながる
- 年収より「次のキャリアアップの土台」を作ることが重要
6-4. 健康面の改善
- 長時間残業や休日出勤が減ることで睡眠の質が向上
- 健康診断の結果が改善するなど、生活の質が向上
7. まとめと行動アドバイス
40代ITエンジニアの転職では、年収ダウンは珍しくない現実です。
しかし、それは必ずしも失敗を意味しません。むしろ、長期的なキャリア設計の中で「必要な一歩」になることも多いのです。
年収ダウンが必ずしも悪くない理由
- 働きやすさの向上:精神的な安定、ワークライフバランスの改善
- スキル強化の時間確保:最新技術を学び直す余裕が生まれる
- 健康面の改善:残業やプレッシャーから解放され、生活リズムが整う
- 将来の年収回復の土台作り:一時的な減収を受け入れ、2〜3年後に跳ね返す
ただし、これらは「自分の意思で条件を選び取った場合」に限ります。
条件交渉不足や情報収集不足による年収ダウンは、後から後悔につながる可能性が高いです。
年収ダウンを避けるための3つの柱
- 市場価値の把握
- 自分のスキルセットが市場でどの程度評価されるか数値で知る
- スカウトオファーや年収査定を活用 - 複数内定による交渉力強化
- 同時並行で応募を進め、比較材料を持つ
- 交渉は直接よりもエージェント経由が有利 - 最新スキル習得
- クラウド、AI、セキュリティなど成長分野を押さえる
- 資格やポートフォリオで実績を見える化
40代ITエンジニア転職 行動チェックリスト
これから転職を考える人は、以下を参考にしてください。
これをクリアすれば、年収ダウンのリスクは大幅に下げられます。
ステップ1:自己分析
- 現在のスキルセットを書き出す(開発経験、マネジメント経験、使用技術)
- 直近3年間で習得した新技術・資格を洗い出す
- 自分の強み・弱みを明確化
ステップ2:市場調査
- 転職サイトのスカウトを10件以上受け取ってみる
- MIIDASやOpenWorkで年収査定を行う
- 同年代の転職事例を調べる
ステップ3:スキルアップ計画
- クラウド(AWS/Azure/GCP)の資格取得計画を立てる
- GitHubなどに成果物を公開
- 勉強会・技術コミュニティに参加する
ステップ4:転職活動準備
- 応募企業を3〜5社並行して進める
- 履歴書・職務経歴書を最新化
- 面接練習を2〜3回行う
ステップ5:条件交渉
- 年収交渉はエージェント経由で行う
- 複数内定を持った状態で条件比較
- 年収以外の条件(残業時間、リモート可否)も確認
最後に
40代の転職は、20〜30代に比べて条件がシビアになる一方で、経験と判断力を武器にできる世代でもあります。
一時的な年収ダウンを恐れてチャンスを逃すより、長期的なキャリア価値を高める方向で判断することが大切です。
あなたが次の職場で、収入も働き方も満足できるキャリアを築けるよう、このチェックリストを参考に準備を進めてください。
コメント